<第26回投稿 4月>

「幸せのニューロン」

関市教育委員会 教育委員 末松 桂子

 人の脳の中には、誰にでも「幸せのニューロン」があるそうです。ニューロンとは神経細胞のことで、一説によると、人の脳には生まれたときには500億ものニューロンがありますが、使われないものはどんどん減っていき、5歳になるころには100億まで減ってしまうそうです。そんな中、唯一伸びていくニューロンがあり、これが「スピンドルニューロン」、すなわち「幸せのニューロン」です。
「幸せのニューロン」は、アメリカの解剖学の研究を通じて発見されたもので、幸せを感じたときに伸びるという特徴があります。このニューロンが伸びると、やる気が出たり、前向きになったり、ストレスに強くなったりします。また、このニューロンが伸びることによって、困難に打ち勝つ強い心が育つといわれています。
「幸せのニューロン」は嬉しいことや楽しいことがあると伸びますが、我慢して何かをやり遂げたことを人から褒められた時、一生懸命何かをやりぬいて達成感を感じた時、美しい風景を見た時などによく伸び、その長さはなんと3キロメートルにも至るそうです。
このニューロンは特に乳幼児期にその成長が著しいのですが、何歳になっても成長するそうです。そして、何よりも興味深いのは、「幸せのニューロン」は一度伸びたら、不幸にあっても縮むことがない、ということです。
よく「子どもは褒めて育てよ」と言われますが、その背景にはこうした科学的な根拠があるのですね。現代は不寛容の時代だと言われますが、だからこそ、誰かの頑張りに目をとめ、労える心のゆとりを持ちたいと思います。そして、その頑張りを認め、褒め、励ましたいと思います。子どもだけでなく、大人に対しても。

 

おこがましくも教育長を拝命して思うこと

神戸町教育委員会教育長 宇野 秀宣

 現在の職を拝命して丸5年が過ぎようとしています。岐阜県の一般行政職職員として定年まで勤務した後、将に「偶さかの僥倖」としか言いようがないのですが、ふるさと神戸町から教育長にとお声がけをいただきました。県職員時代には総務、商工労働畑を中心に勤務して参りましたが、その間、外務省派遣、県立下呂温泉病院事務局長、県教育委員会教育次長職など、少々毛色の変わった仕事も含め、様々な得難い経験をさせてもらいました。
教職に身を置いたことのない私ですが、これまでの経験も踏まえながら、子どもたちが「明るく楽しく元気よく」学校生活が送れるよう、また、そのためにも先生方が生き生きとやりがいをもって子どもたちと接していただけるよう、ソフト、ハード両面で精一杯学校現場を支えていく、このことを信条として教育委員さん及び事務局職員とともに仕事をして参りました。もちろん至らぬ点は先生方にご寛恕いただくしかないのですが。
それはさて置き、学校訪問等で子どもたちが元気にあるいは真剣に授業を受けている姿を見せてもらうのが、何よりもうれしく、楽しい時間になっています。授業の様子から先生方お一人お一人の熱意と使命感も伝わってきますし、神戸町、そして日本の明るい未来が見えてくるような気さえしてきます。そしてそれが現実のものとなるよう、子どもたちには、批評的思考態度を持ちつつ自分の頭でしっかりと考え抜く、表面的な現象に惑わされることなく、ものごとの本質を見抜くような学びの姿勢を培っていって欲しいと、切に願っています。
欺瞞に満ちた日本社会をよりよいものにしていくには、結局のところ一人一人が賢くなって、「静かなる変革者」として地道に行動していくしかないわけです。そのためには教育の果たす役割は非常に大きいと思います。これからも子どもたちが「美しい心」を身に付けられるよう、あるいは自分の「魂を優れたものにする」ことができるように、教育現場を精一杯支えていきたいと愚考する今日この頃なのでありました。