<第41回投稿 7月>

 苗代桜(なわしろざくら)

                                          下呂市教育委員会 教育委員  細江 洋一郎

私の家から北へ100メートル程、離れた所に県指定天然記念物である苗代桜が立っています。

この桜は二本の巨木からなり、樹齢は約500年と推定され、樹高は約30mになります。苗代桜の名の由来はその美しい桜の開花を待って里人が苗代の準備を始めた所からきております。       私は保存会の会長を務めており、その関係にて毎年、地元の下呂小の生徒達に自然体験学習の一環として、苗代桜の紹介をしておりますが、この苗代の説明に苦慮しております。私自身も小学生の頃までは親が畑に苗代を作るのを見ておりますが、それ以来は見ておらず、写真等の資料もない為、仕方なく、子供達には稲の苗を育てる為の畑とだけ、説明します。

また、生徒達にいつも、伝える事としては桜を先祖から村人達が村のシンボルとして、大切にしてきたことや、この桜の品種がエドヒガンであることです。県内には日本三大桜のひとつである樹齢1500年の薄墨桜がありますが、これもエドヒガンにて、国内にて樹齢が500年を超す桜の大半がこの品種です。それともう一つ、教えていることは、国内で一番多く植えられ、日本全国の桜の開花情報の対象となっている日本を代表する桜、ソメイヨシノについてです。

ソメイヨシノは江戸時代の中期に染井村(現在の東京都葛飾区)の庭木職人が奈良の吉野桜と関東の大島さくらを掛け合わせた品種改良によって生まれた桜と言われております。その為、樹齢が70年と短い欠点がありますが、唯一、例外なのが弘前城の桜で、青森県ということで、リンゴの木の剪定の技術と肥料の効果にて樹齢が100年を超えたソメイヨシノが数多くあります。

さて、苗代桜が全国的に有名になったのは2000年頃からで、水田にライトアップされた桜が映えると新聞やテレビで報道されたことや、その頃、仕事で下呂温泉に来られた、日本一桜を愛する芸能人と自負する梅沢冨美男さんが、この夜桜に感動して日本一の夜桜として、テレビや週刊誌に紹介されたことがあります。実際、桜を追いかけて全国を旅するカメラマンや桜の愛好家達からも同様の話を複数、聞いておりますので、真実性はあります。

現在、桜は下呂市教育委員会の管轄にあり、文化財として扱われており、過去には折れた枝の修復に尽力して頂いたり、樹木医として、岐阜大学の林先生に樹勢診断して頂き、根の健康回復等の指導を受けました。そのお蔭にて、現在、樹勢はかなり、良い状態にあり、20年前と現在を写真にて比較すると桜自体が一回り、大きくなっているのがわかります。

ピーク時は2万人の見物客が開花中のわずか10日間に訪れました。戸数60戸足らずの過疎の村では、これを受け入れる為、保存会を立ち上げ、駐車場を野球グランドに設置し、シャトルバスを2台でフル回転する離れ業をやってのけました。また、おもてなしの目的で、近くの田圃にバザー会場を設置し、見物にこられた客に喜んでいただきました。

現在までに訪れた観客は累計30万人を超えるかと思いますが、いろいろな方と接する事が出来ました。今年、見えられた方の中で、静岡と名古屋のお二人と10分程、お話が出来、その帰り際にまた、来年も来ますと約束していただいたことが嬉しく、記憶に残っております。

 

 

こどもたちの思いが活かされた「こどもの権利条例」、これからが楽しみ!

 

本巣市教育委員会  教育委員  黒田 隆吉

「 われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

『児童は、人として尊ばれる。』

『児童は、社会の一員として重んぜられる。』

『児童は、よい環境の中で育てられる。』」

これは、50余年前、私が初めて教壇に立った時、先輩が私に話してくださった児童憲章(1951年5月5日制定)の前文です。その先輩は、「私たちはこの子たちに対してこの精神を常に念頭に置いて接していきましょう。」と話されましたが、私が退職するまでの38年間、これを常に意識してこどもたちに接してきたかと問われると自信はありません。

 

しかし、教育委員に就いて7年目の昨年、本巣市のこどもたちが私にこの児童憲章の理念を再び想起させてくれたのです。もちろん、そのきっかけ作りは教育委員会が行い、その取り組みの中では完全なる黒子となってこどもたちを支えてくださった学識経験者たちがみえました。各学校・園や児童会・生徒会サミットなどで、こどもたちが『大人から与えられるものでなく、自分と全ての友だちが幸せと感じる為の権利』について話し合っている進捗状況を定例教育委員会の中で報告されてきました。

「楽しく遊んで学ぶ権利」「みんなが仲良く楽しくくらす権利」「仲間はずれをされない権利」「いっぱいほめられる権利」「ちょうどいいむずかしさで勉強する権利」「失敗しても責められない権利」「いやと言える権利」等々、児童憲章と異なるのは「こどもが主体」となっていることです。

そして、この3月、こどもたちの願いを受けて、「本巣市こどもの権利条例」が制定されました。

 

時が過ぎていくと、設立時のこころ・熱意は忘れられて、形骸化していった事例をいくつも経験しています。後期高齢者へ秒読み段階に入った私ですが、これだけは、いつまでもこどもが主体となって、活き続ける学校・街であってほしいと強く願い、エールを送り続けるつもりです。